静岡地方裁判所 昭和46年(わ)101号 判決 1971年4月05日
本籍並びに住居
静岡県庵原郡富士川町北松野一、三二八番地の六
医師
秀村敏朗
大正五年八月二一日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官居森喜代関与取調べのうえ、次の通り判決する。
主文
被告人を懲役四月及び罰金一、二〇〇万円に処する。
右罰金を完納できない場合は二〇、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罰となるべき事実)
被告人は静岡県庵原郡富士川町北松野一、三二八番地の六において医院を経営するものであるが、自己の所得税を免れる目的をもって、
第一、昭和四二年分の総所得は三八、〇五一、五九三円でこれに対する所得税は一八、四四六、一〇〇円であったのにかかわらず同四三年三月八日所轄清水税務所において同署長に対し昭和四二年分の所得税の確定申告をするにあたり総所得は二三、三〇〇、〇〇〇円でこれに対する所得税は九、二三五、一〇〇円であると殊更に過少に記載した虚偽の確定申告書を提出し、もって不正行為により右正規に納付すべき税額との差額九、二一一、〇〇〇円の所得税を免れてほ脱し
第二、昭和四三年分の総所得は四八、二八八、一一九円でこれに対する所得税は二四、一九三、七〇〇円であったのにかかわらず同四四年三月一五日前同署において同署長に対し昭和四三年分の所得税の確定申告をするにあたり総所得は二八、八三四、〇〇〇円でこれに対する所得税は一一、六二五、七〇〇円であると殊更に過少に記載した虚偽の確定申告書を提出し、もって不正行為により右正規に納付すべき税額との差額金一二、五六八、〇〇〇円の所得税を免れてほ脱し
第三、昭和四四年分の総所得は七二、二七二、三二五円でこれに対する所得税は四〇、〇二四、三〇〇円であったのにかかわらず同四五年三月一五日前同署において同署長に対し昭和四四年度分の所得税の確定申告をするにあたり総所得は四〇、一〇六、〇〇〇円でこれに対する所得税は一七、五七五、四〇〇円であると殊更に過少に記載した虚偽の確定申告書を提出し、もって不正行為により右正規に納付すべき税額との差額金二二、四四八、九〇〇円の所得税を免れてほ脱し
たものである。
(証拠の標目)
一、被告人の当公判廷における供述
一、公判調書引用の甲検察官請求証拠目録請求番号1乃至268の各証拠
一、公判調書引用の乙検察官請求証拠目録請求番号1乃至12の各証拠
(法律の適用)
一、所得税法違反の点 同法第二三八条第一項第二項(懲役及び罰金併科)
一、罰金不完納の場合の換刑留置につき、刑法第一八条
一、懲役刑の執行猶予につき、刑法第二五条第一項
(裁判官 相原宏)